プロジェクト・マネジャーのスキルとは?

コラム vol.02

システム開発プロジェクトのプロジェクト・マネジャーには、どのようなスキルが求められているのでしょうか? ここでは、プロジェクト・マネジャーのリーダーシップの観点から、4つの役割(リーダー、マネジャー、ファシリテーター、メンター)について解説します。*1)

(1)リーダー
リーダーの役割として、プロジェクトの目的やビジョンを理解し、プロジェクト目標に向かってチームメンバーが進めるように動機付けするができることにあります。このためには、プロジェクトの目的やシステム要件について何が必要で、何が不要(やらなくて良い)かプロジェクトのスコープをステークホルダーと明確に合意できることと、組織のリソースやメンバーの能力を超える要求を簡単に受けないことができる能力が必要です。 また、チーム内外のステークホルダーに対して、必要なタイミングでチームの声を発信し、プロジェクトのコンフリクト(衝突)を前向きに率直な態度で解消していくことができることも必要です。

(2)マネジャー
マネジャーの役割として、プロジェクトの管理の仕組みを定義し、プロジェクトのパフォーマンス・コスト、スケジュールが計画どおりであるかを追跡し、記録することです。そして、ステークホルダーにプロジェクトの状況を報告することです。 プロジェクトの状態が良いのは、過度の管理にならずチームメンバーが自らの役割と責任を自主的に果たせ、ステークホルダーへの不要な報告や調整がほとんど発生しないことです。このような状態を作っていくことが必要です。

(3)ファシリテーター
ファシリテーターとは、物事を円滑に進めるようにする人のことです。プロジェクト・マネジャーがファシリテーターとして目指すべきは、プロジェクト成功のために何が必要か問い掛け、チームメンバーに選択肢を示しメンバーが行動できるような状態をつくることです。実際の問題を解決するのはプロジェクト・マネジャーではなくメンバー自身です。

(4)メンター
メンタリングとは、仕事を通じてその人(チームメンバー)が成長することを支援することです。チームメンバーやプロジェクト活動を通じて成長していくために、率直で的確なフィードバックを実施し、活動での失敗を学びの機会として捉えるように支援することです。

プロジェクトの成功は、QCD(品質、コスト、納期)の達成度合いやステークフォルダーの満足度で測られるのは言うまでもありませんが、プロジェクト活動を通じてチームメンバー(プロジェクト・マネジャーも含めて)がどこまで成長したかの観点でも測られるべきです。

現実のプロジェクト活動で、(1)のリーダーと(2)のマネジャーに関することは意識的にプロジェクト・マネージメントしていますが、あらためて、チームメンバーのモチベーション維持や成長に影響する(3)のファシリテーターや(4)のメンターについても考えてみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
*1) Steven W.Flannes・Ginger Levin著、PMI東京支社・吉沢 正文監訳,プロジェクト・マネジャーの人間術,2007,アイテック

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